実際教員の部活指導ってどうなの?部活動の闇と賢い運営方法

学校
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小学生6年生に「中学校に入って楽しみなものはなに?」と聞くと多くの子どもは「部活!」そう答えます。

そんな子どもたちの期待とは対照的に一部の教員以外からは肯定的に捉えられていない、働き方改革から逆行する活動。そう、部活動。

玉ねぎくん
玉ねぎくん

実際に教員の労働時間に部活動ってどのくらいの時間を占めているの?

よよパパ
よよパパ

この記事では10年間教員として働き、その内8年間部活の奴隷として働いていたよよパパが部活指導の実情について書いていくよ。

これから教師を目指す方、部活動の指導に悩む現役教師の方、部活動問題に興味のある方向けに書いています。

これを読めば部活動の実態だけでなく、教師としての部活動への賢い関わり方を学ぶことができます。

部活動の役割

文科省のHPにある「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革 概要」には「部活動は、教科学習とは異なる集団での活動を通じた人間形成の機会や、多様な生徒が活躍できる場である。 」と記載されています。

これにある通り部活動で生徒が学ぶものはとても多く、学校生活では違った輝きを見せる生徒も多いです。

例えば

「友人との衝突による問題解決能力」「勉強以外のことに打ち込み友人と目標を達成する為に切磋琢磨する」

「先輩や後輩など縦の関係を構築する」

などです。

普段勉強が全然得意でなく、ふにゃふにゃ机にへばりついてる生徒も部活となれば顔が変わるなんてことも。

もちろん学校、そして人生は勉強だけではありませんし、特に今の世の中は学力のものさしによって子どもは判断されがちです。そういう意味では生徒の輝ける場所を増やす、生徒が机や教室以外で学ぶ場を得るという意味では部活動はとても有意義な活動であると思います。

また、多くのスポーツにおいて、育成カテゴリの多くは習い事ではなくて部活動が占めているということも事実でしょう(野球、バスケ、サッカー、バレーなど)。

今の日本のスポーツ育成の一端を部活動は担っていると言っても過言ではありません。

そしてもう1つ。これは賛否ありますが、部活動によって生徒を(言い方は悪いですが)コントロールできるというところ。

中学校というのは小学校から大きくステージが変わり、その中で成長と共に子どもにも様々な変化があります。授業をしっかり受けられない。勉強に向かえない。親や教師への反発、非行などなど…。

そんな生徒が「部活動をする為に」学校に行ったり、苦手な勉強を頑張ったり、集団生活で迷惑をかけないようになるわけです。もちろん頑張る理由は外発的なもので、褒められたものではありませんが。そんなものがなくても生徒を学習や学校生活に対して前向きに、積極的にさせる力が教員に必要なのだろうとは思いますが、なかなかうまくいかないのが中学生。部活動はそんな役割も実は担っているのです。

部活動の実態

そんな日本教育、そしてスポーツ育成の一端を担っている部活動ですが最近はその在り方に疑問の声が上がってきました。

理由は2つ。

1つは教員の労働時間の問題。

2つ目は教員の受け持つ部活の専門性の問題。

実際に文科省のHPの中の「部活動の課題」にも「一方、これまで部活動は教師による献身的な勤務の下で成り立ってきたが、休日を含め、長時間勤務の要因であることや、 指導経験のない教師にとって多大な負担であるとともに、生徒にとっては望ましい指導を受けられない場合が生じる。 」という文言が載っています。

現在学校現場では基本的に1人の教員につき最低1つの部活の顧問を持つようになっています。それは主顧問の場合もあるし、副顧問の場合もあります。学校の規模や部活の数によっては2つや3つのクラブを掛け持ちする教員も出てきます。

玉ねぎくん
玉ねぎくん

主顧問、副顧問ってどんな仕事の違いがあるの?

よよパパ
よよパパ

主顧問はその部活動をメインに見て、指導、練習の計画などを行うよ。副顧問は主顧問のサポート。例えば練習予定表を作ったり、主顧問が部活動にいけない日に代わりに行ったり…って感じかな。

もちろん主顧問はこの仕事、副顧問はこの仕事って決まっているわけではありません。もちろん副顧問がいなくて全てを1人でやっている顧問もいますし、副顧問という名前だけもらって何もしていない方もいるし、めちゃめちゃ色々やってくれる副顧問の方もいます。

部活動の仕事って実は色々あって…例えば僕が指導していたバスケットボール部の仕事は

練習の指導(ほぼ毎日)

練習の計画(毎日)

練習予定の作成(月に1回)

練習試合や合同練習の調整(不定期)

顧問会議への参加

公式戦の参加申込書などの書類作成

試合の引率

試合の審判(文句を言われまくりながら)

試合の監督

ユニフォームなどの購入のための書類作成、集金、発注

部員の揉め事の仲裁

このくらいでしょうか。部活によってそれぞれ仕事内容はまちまちですが。

僕が見ていて一番大変そうなのは吹奏楽です。ちなみに同じ部活の顧問をずっとやっていると役員を任されます。無賃でここからさらに多くの重要な仕事を任されることになります。もう一度言います。「無賃」です。

玉ねぎくん
玉ねぎくん

ただその部活を教えているだけじゃないんだね。

よよパパ
よよパパ

そうなんだよ。普段の業務にこれがプラスされるわけだからなかなか大変なのよ。しかも平日じゃなくて休日にもこの活動があるからね。

では部活動に焦点を置いて教員の1日を紹介していきます。

教員の1日の仕事の流れ+休日

教員の1日の仕事の流れ+休日(部活動への奴隷編)

7:30 朝練スタート

8:15 朝練終了

8:30 勤務スタート

9:00 授業スタート(ここから部活始まるまでに練習メニューを授業の合間に作成)

15:30 終礼

16:00 部活スタート(時間に余裕がある時以外は生徒のみで行う※もちろん終始つきっきりで指導している教師もいる)

18:00 部活終了、授業研究や学年、学校の仕事スタート

19:00 うまくいけば帰宅(うまくいかなければ10時まで職員室の明かりは点いています)

土曜日(練習試合)

8:30 集合

9:00 練習試合スタート(審判+指導)

13:00 練習試合終了(教官室で無駄なおしゃべり)

14:00 帰宅からの昼ごはん。ほぼ1日終了

日曜日(公式戦)

8:30 集合

9:00 公式戦スタート(審判+監督)

17:00 解放。1日終了。次の日勤務。

いやぁ、書いてて改めて振り返ると恐ろしいですねぇ。

これで休みなしで30連勤、50連勤とかかますわけです。麻痺してたなぁ。この頃は「休むと逆に次の日の仕事が嫌になっちゃうから土日の部活がいいリハビリ」とか訳分からんことを言っていたわけです。


分かれる教員~部活動肯定派、否定派~

このような部活動の形態で少なくとも30年以上は教育業界は動いていたわけです。なので麻痺している人がほとんど。実際は嫌だと思っていても「異常が通常」な為、また「生徒のため」という何者よりも強い言葉がある為、仕方なくこのような生活をしている人がほとんどでした。

しかし、世の中で働き方改革という言葉が生まれ、教育業界にもタイムカードが導入され、少しづつ教員の労働時間やばいんじゃね?これおかしいんじゃね?って声が出てきて、部活動問題が明るみになったわけです。

では現在はどうか。僕の職場や周りの話にはなりますが、反対派の人が大きく声をあげてることはありません。

理由としては

・今まで当たり前だった流れにそむく感じがある

・「生徒のため」には部活はやった方がいいから「部活やりたくない」とは言えない

・部活肯定派の人たちのエネルギッシュさに押される 

って感じでしょうか。

玉ねぎくん
玉ねぎくん

てかそもそもよよパパはどっち派なのよ

よよパパ
よよパパ

僕は自分が経験したスポーツをやらせてもらってるからまだ幸せな方だとは思うし、今は軌道に乗ってるからそこまで負担ではないけれど、色々な側面から考えると否定派かなぁ。

教員の何割かは経験したことのない部活を指導しなければいけません。それも休日であるはずの土日も。さらに生徒は顧問が専門でないことに不満を抱く。しかも休日1日2,3000円の給料で。それなのに安全等全ての責任を背負って。

先にも書いたように部活動は教員が必ずしも担うべき業務ではありません。しかしその業務のせいで残業は確定。休日出勤も確定。

それではしっかりとした休息をとり、リフレッシュし、本来の業務である授業や生徒と向き合うことに集中できるとは思えません。

どんなに部活動にプラスの側面があっても教師が本来の教師としての業務に集中できない活動ならばそれはいい活動とは言えません。なので僕は部活動は教師の仕事とは完全に切り離すべきだと思います。

どのように教員は部活動と向き合うべきか

文科省の部活動改革により土日のどちらかは休養日を、平日も1日休養日をとらなければならなくなり、少しずつ教員の部活動への負担も減ってはきています。しかし部活動が地域に移行されるのは「令和5年から段階的に」とされています。

玉ねぎくん
玉ねぎくん

まだ少なくともあと2年は部活に休日を蝕まれる日が続くんだね…

よよパパ
よよパパ

しかも段階的だからね…。週休2日取れないことも今の教師の成り手不足の要因だと思うけどなぁ。

まぁうだうだ文句を言っていてもしょうがないです。ここからは僕が部活動で取り入れた、教師が少しでも楽になれ、生徒も育てることができる運用方法を紹介していきます。

1. 生徒主体で行う 

これは本来の部活動の目的でもありますが、なかなか中学生に実践させることは難しいです。高校生なら可能かもしれませんね。

練習メニューを自分たちで考えさせたり、練習予定を自分たちで作らせたりする訳です。教師が口をはさむのは極力控える。失敗もあるし、教師が指導した方が上達は早いかもしれません。でもその失敗やうまくいかない中で学ぶものの方が大きいはずです。

生徒の自主性を育て、教師の負担を減らす。これだけで毎日の業務や指導はグッと減ります。

ただ「強くさせたい!」と思う方にはこの方法は向かないと思います。

2. 本音を言う

僕は年度始めの部活に全てを打ち明けています。

こういう理由で休養日が文科省から設定されている。教師も休まないといけない。家族がいるし、子どももいる。部活の前にまずは本来の学校の仕事に100%で取り組まなければいけない。だから部活は君たちが主体となってやるんだ、休みもとる、長い時間部活はしない。と。

文科省から「部活は教員の担うべき業務ではない」と言っている以上、ここまで言ってしまってもいいと思いますし、中学生もある程度はわかってくれます。(わかってくれない生徒や親は「ガチンコの習い事にお金を払っていってください」と追い返すつもりです笑)生徒がこちらの状況を理解してくれていれば、こちらの指導方針なども生徒に入りやすいです。これを保護者会などを開いて保護者にまで伝えることもおすすめです。

3. 休日練習は早朝に

休日は先ほども書いたように午前に行っても午後に行っても半日潰れてしまうことはほぼ確実です。

そこで僕が実施している方法は早朝に行うこと。7時~9時くらいの時間で行っています。それなら帰ってきても9時半や10時ですし、教師も生徒も1日を有意義に使うことができます。少し早すぎるので保護者の理解も必要かもしれませんが…。

4. 趣味にしてしまう

これはあまりオススメしませんが、いやいや部活をやるよりむしろ楽しんでしまおうという方法です。何事も前向きに取り組めば楽しいし、魅力がある!…かもしれない…。どうせやらなければいけないなら積極的に楽しんでやってしまおうということですね。


まとめ

いかがでしたか?まだまだ教員の働き方改革は進んでいませんが、工夫次第で部活動も教師にとってただの苦しいボランティアではなくなると思います。

また、実際に部活動が生徒の成長に大きな役割を担っているのは事実です。生徒の成長やキラキラした瞬間を部活の中で僕もたくさん見てきました。だからこそ部活が教師の働き方にとって完全なる悪にならないように僕たちは様々な工夫をし、協力し、今の働き方を乗り越えていかなければいけません。

現役の教員のみなさん、教員を目指すみなさんの少しでも参考になれば嬉しいです。

読んでいただきありがとうございました。

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